香典袋の書き方で押さえるべきことは、大きく3つです。①表書きは相手の宗教に合わせる(仏式は御霊前・御仏前、神式は御玉串料、キリスト教式は御花料)、②名前は水引の下にフルネームを薄墨で書く、③中袋の金額は「金壱萬圓也」のように旧字の漢数字で書く。この3点を押さえれば、急な訃報でも慌てずに準備できます。以下で順に見ていきましょう。なお、包む金額に迷ったら香典金額チェッカーで相場を確認できます。
表書きは宗教・宗派で使い分ける
香典袋の上段中央に書く「表書き」は、故人・喪家の宗教によって変わります。一般的な使い分けは次のとおりです。
| 表書き | 宗教・場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 御霊前 | 仏式(通夜・葬儀・四十九日前)。宗教がわからない場合にも広く使われる | 浄土真宗・プロテスタントでは避けるのが望ましいとされる |
| 御仏前(御佛前) | 仏式の四十九日以降(法要)。浄土真宗では通夜・葬儀でも御仏前 | 浄土真宗は「亡くなるとすぐ仏になる」という教義のため |
| 御玉串料・御榊料 | 神式(神道)の通夜祭・葬場祭 | 「御霊前」も使えるとされるが、蓮の花の柄の袋は仏式用なので避ける |
| 御花料 | キリスト教式(カトリック・プロテスタント共通) | 水引のない白封筒か十字架・百合の柄の袋を使う。カトリックでは「御ミサ料」も |
迷いやすいのが浄土真宗です。仏式だからと「御霊前」を選ぶと教義に合わないため、喪家が浄土真宗とわかっている場合は通夜・葬儀でも「御仏前」とするのが一般的です。宗派がわからない場合は「御香典」「御香料」と書けば仏式全般で使えます。
薄墨で書くのが一般的
通夜・葬儀に持参する香典の表書きと名前は、薄墨の筆または筆ペンで書くのが一般的とされています。「悲しみの涙で墨が薄まった」「訃報に急ぎ駆けつけ墨をする時間がなかった」という気持ちを表す慣習です。
- 薄墨用の筆ペンはコンビニや文具店で入手できます。
- 四十九日以降の法要(御仏前)では、あらかじめ予定がわかっているため普通の濃さの墨で書くのが一般的です。
- 中袋の金額・住所は、遺族が読みやすいよう普通の濃さで書いて差し支えないとされています。
名前の書き方|個人・連名・会社名
名前は水引の下段中央に、表書きよりやや小さめの字で書きます。
個人で出す場合
姓だけでなくフルネームで書きます。同姓の参列者と区別がつかなくなるためです。夫の代理で妻が参列する場合は、夫の氏名の左下に小さく「内」と添える書き方が一般的です。
連名で出す場合
- 夫婦連名: 中央に夫のフルネーム、その左に妻の名前(名のみ)を並べます。
- 友人・同僚の連名: 一般的に3名まで。目上の人を右から順に書きます。上下関係がなければ五十音順でも構いません。
- 4名以上: 代表者名の左に「外一同」と書き、全員の氏名は別紙に書いて中袋に同封します。
会社名を入れる場合
会社として出すなら中央に「株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯◯◯」のように会社名+役職+氏名。部署一同なら「株式会社◯◯ 営業部一同」とし、別紙に全員の氏名を添えます。会社名だけで個人名がないのは避けるのが無難です。
中袋の金額は旧字の漢数字(大字)で
中袋の表面中央に金額を、裏面左下に住所・氏名を書きます。金額は改ざん防止のため、旧字の漢数字(大字)を使って「金◯◯圓也」と書くのが一般的です。
| 包む金額 | 中袋の書き方 |
|---|---|
| 3,000円 | 金参仟圓也(金三千円也でも可) |
| 5,000円 | 金伍仟圓也 |
| 10,000円 | 金壱萬圓也 |
| 30,000円 | 金参萬圓也 |
| 50,000円 | 金伍萬圓也 |
| 100,000円 | 金拾萬圓也 |
「一→壱」「二→弐」「三→参」「五→伍」「十→拾」「万→萬」「円→圓」と置き換えます。末尾の「也」は「これで終わり(端数なし)」を示すもので、付けなくても失礼にはならないとされています。横書きの金額欄が印刷された中袋なら「10,000円」と算用数字で書いても差し支えありません。金額の相場は間柄や年齢で変わるため、香典金額チェッカーも参考にしてください。
お札の向きと新札のマナー
お札の入れ方にも慣習があります。諸説ありますが、一般的には次のようにされています。
- 肖像画を裏(袋の裏側)に向け、肖像が下になるように入れる。「顔を伏せて悲しみを表す」という意味合いです。
- 新札は避ける。「不幸を予期して用意していた」印象を与えるためです。新札しかなければ一度折り目を付けてから包みます。
- 逆に、しわだらけ・破れたお札も失礼とされます。適度に使用感のあるきれいなお札を選びましょう。
- 複数枚入れる場合は向きを揃えます。また「4(死)」「9(苦)」を連想させる4,000円・9,000円などの金額は避けるのが一般的です。
袋の裏側の折り返しは、上側の折りが上(かぶせる形)になるように重ねます。「悲しみでうつむく」形で、慶事(下側が上)とは逆になる点に注意してください。
当日までの準備チェックリスト
- 宗教に合った不祝儀袋と表書きを用意した(不明なら「御霊前」または「御香典」)
- 表書き・名前を薄墨のフルネームで書いた
- 中袋に金額(旧字)と住所・氏名を書いた
- お札の向きを揃え、新札は折り目を付けた
- ふくさ(袱紗)に包んだ — 香典袋を裸で持ち歩くのはマナー違反とされます
服装の準備についてはお通夜・葬儀の服装マナーの記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
相手の宗教がわからないとき、表書きはどうすればいいですか?
一般的には「御霊前」が宗教を問わず広く使えるとされています。ただし浄土真宗では「御仏前」が正式で、プロテスタントでは「御霊前」を避ける考え方もあります。迷う場合は無地の袋に「御香典」とする方法もあります。
薄墨の筆ペンがないときは普通の黒で書いてもいいですか?
薄墨は悲しみを表す慣習であり、絶対のルールではありません。普通の濃さの筆ペンやサインペンで丁寧に書けば失礼にはあたらないと考えられています。ボールペンや鉛筆は避けるのが無難です。
中袋に「10,000円」と算用数字で書いてもいいですか?
横書きの金額欄が印刷されている中袋であれば算用数字でも差し支えないとされています。縦書きの場合は「金壱萬圓也」のように旧字の漢数字で書くのが一般的です。
新札しか手元にない場合はどうすればいいですか?
一度縦に折り目を付けてから包めば問題ないとされています。逆に、破れや汚れのひどいお札も失礼にあたるため避けましょう。