まず落ち着いて確認したいこと
大切な存在を見送るときに、すべてをすぐ決める必要はありません。順番に確認していけば十分です。
- 呼吸や反応の有無に迷いがあるとき、亡くなる直前・直後で医療的な判断が必要なときは、まずかかりつけの動物病院(夜間の場合は夜間救急)に連絡してください。死亡の確認そのものも獣医師に依頼できます。
- 亡くなったことが確かであれば、次にすることはご遺体の安置です(方法は次の項)。適切に安置すれば、季節にもよりますが1〜2日ほどはゆっくり考える時間を取れることが多く、火葬や供養の方法をその日のうちに決めなくてもよい場合があります。
- ご家族がそろってからお別れをしたい場合も、安置しておけば時間を作れます。気持ちの整理がつくまで、そばで過ごす時間を持ってかまいません。
- 登録している犬は、市区町村への死亡届(30日以内)という手続きがあります。マイクロチップを登録している犬・猫には、指定登録機関への死亡の届出もあります(詳しくは後述)。いずれも当日に慌てて行う必要はありません。
ご遺体の安置方法
ご遺体は時間とともに変化していくため、涼しく保つことが安置の基本です。
- 直射日光の当たらない涼しい場所に、タオルやペットシーツ、毛布などを敷いて寝かせます。箱や棺に納める場合も同様です。
- タオルで包んだ保冷剤や氷をお腹・頭のまわりに当てます。内臓のあるお腹まわりを冷やすことが特に大切とされています。保冷剤は溶けたら取り替えます。
- 手足を軽く胸の方へ折り曲げて姿勢を整え、まぶたを閉じてあげると、そのあとの安置や納棺がしやすくなります(死後硬直が始まる前が整えやすいとされます)。体液が出ることがあるため、下にペットシーツを敷いておくと安心です。
- 夏場は室温が上がりやすいため、冷房の効いた部屋で安置し、保冷剤を多め・こまめに取り替えるのが目安です。夏場はおおむね1日程度、涼しい季節であれば2日程度を目安に、火葬・埋葬までの予定を考えるとよいとされています。
この安置ができていれば、慌てて連絡先を探したり、その場で方法を決めたりしなくても大丈夫です。
犬の死亡届とマイクロチップの届出
手続きは2種類あり、それぞれ根拠となる制度が異なります。届出が必要かどうかは「登録しているかどうか」で決まります。
犬の死亡届(狂犬病予防法)
狂犬病予防法に基づく登録をしている犬が死亡した場合、死亡した日から30日以内に、登録している市区町村へ死亡届を出します。届出の際は鑑札と狂犬病予防注射済票を返納します。多くの自治体で、窓口のほか郵送や電子申請にも対応しています。
マイクロチップの死亡の届出(動物愛護管理法)
マイクロチップの情報を国のデータベース(指定登録機関)に登録している犬・猫が死亡した場合は、指定登録機関への死亡の届出が必要です。届出は環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトからオンラインで行えます。この届出について、犬の死亡届と同じ「30日以内」という期限は案内されていませんので、期限や手続きの詳細は環境省の案内をご確認ください。
登録をしていない猫やその他の小動物には、こうした届出は原則ありません。
亡くなったあとの手続きチェックリスト(時系列)
法律上の手続きと、生活まわりの整理を時系列でまとめました。法定期限が明示されているのは犬の死亡届(30日以内)です。マイクロチップを登録している犬・猫は死亡の届出も必要ですが、期限は環境省の最新案内で確認してください。そのほかは、契約ごとの期限に気をつけつつ落ち着いて進めれば十分です。
当日〜数日
- ご遺体の安置(上記) — できていれば、以降はすべて落ち着いてからで大丈夫です
- 火葬・供養の方法を決める — 方法の比較で違いを確認し、依頼前にチェックリストで総額などを確認
- 家族・お世話になった人への連絡(かかりつけの動物病院に伝えると、以後の案内送付が止まります)
届出・連絡が必要なもの(期限は手続きごとに異なります)
| 手続き | 対象 | 期限 |
|---|---|---|
| 市区町村への死亡届(狂犬病予防法) | 登録している犬 | 死亡から30日以内(鑑札・注射済票を返納) |
| 指定登録機関への死亡の届出(マイクロチップ) | マイクロチップを登録している犬・猫 | 届出が必要(犬の死亡届と同じ30日以内という案内はされていないため、環境省の案内で確認) |
| ペット保険の解約・保険金請求 | 加入していた場合 | 契約ごとに確認(月払いは早めの連絡で引き落としが止まります) |
| フード・薬の定期便、サービスの停止 | 利用していた場合 | 契約ごとに確認 |
落ち着いてから(法定期限なし)
- 遺骨の供養の決定 — 供養方法の比較(期限はありません。手元に置いたまま考えられます)
- ケージ・用品などの整理 — 急ぐ必要はありません。処分・譲渡・買取など整理の選択肢は不用品処分診断が使えます(気持ちの区切りがつくまで、そのままでも構いません)
火葬・供養の選択肢
主な選択肢を中立的に整理します。どれが正解ということはなく、ご家庭の考え方・住環境・地域の事情に合わせて選ぶものです。利用できる方法は自治体・住宅環境・土地の条件で異なります。各方法の流れ・注意点・費用の考え方まで詳しく比べたい方は、火葬方法の違いと選び方をご覧ください。
自治体への依頼
市区町村に引き取り・火葬を依頼する方法です。合同での火葬・返骨なしという扱いの自治体が多く、費用は比較的小さい傾向があります。自治体によって、動物専用炉で火葬するところ、慰霊碑があるところなど対応はさまざまです。内容は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの自治体の案内で確認してください。
民間の合同火葬
民間のペット霊園・火葬業者で、他のご家庭のペットと一緒に火葬する方法です。合同のため返骨はありませんが、施設によっては合同慰霊碑への埋葬や供養祭が行われます。
個別火葬(返骨あり)
一体ずつ個別に火葬し、遺骨を返してもらえる方法です。返骨後は納骨・自宅供養・手元供養など、その後の供養を自由に選べます。火葬自体には立ち会わず、お任せする形(一任個別)が一般的です。
立会火葬
個別火葬のうち、火葬に家族が立ち会い、人の葬儀のようにお骨上げ(収骨)まで行える方法です。最後まで見送りたい方、家族そろってお別れをしたい方に選ばれています。
訪問火葬(火葬車)
火葬設備を備えた車が自宅近くまで来て火葬する方法です。移動手段がない場合や、住み慣れた場所で見送りたい場合に利用しやすく、個別火葬・返骨に対応する業者が多くあります。駐車場所の確保など住宅環境によっては利用しづらい場合があるほか、地域の条例等で制限がある場合もあります。
霊園・納骨堂への納骨
火葬後の遺骨を、ペット霊園のお墓や納骨堂に納める方法です。年間の管理費がかかることが多く、お参りの場所ができます。人と一緒に入れる区画を設ける霊園もあります。
自宅供養・手元供養
返骨された遺骨を骨壺のまま自宅に置いたり、小さな分骨容器やアクセサリーに納めて身近に置いたりする方法です。期限はなく、気持ちの整理がついてから納骨や散骨を考えることもできます。賃貸・集合住宅でも行いやすい供養です。
自己所有地への埋葬
持ち家の庭など自分が所有する土地への埋葬は、一律に禁止されてはいませんが、自治体の指導や土地の条件によってルールが異なるため、事前の確認が確実です。動物に掘り返されない十分な深さと、近隣への配慮が必要とされます。公園・河川敷・山林などの公共の場所や他人の土地への埋葬はできません。借地や賃貸住宅では行えず、将来の引っ越しの可能性も考えておきたい点です。
費用について
費用は自治体・業者・地域・ペットの体重によって大きく異なるため、このページでは幅のある目安にとどめます。自治体への依頼は無料〜数千円程度に設定されていることが多く、民間の火葬は合同か個別か・立会の有無・体の大きさなどによって数千円〜数万円程度の幅があります(当サイトの大まかな整理であり、実際の料金は必ず依頼先に確認してください)。金額の大小と供養の丁寧さ・気持ちは別のものです。ご家庭の考え方に合う方法を選べば十分です。依頼前に確認しておきたい項目(総額・追加費用・返骨の形など)は火葬を頼む前のチェックリストにまとめました。