3種類を先に比較
| 種類 | 加入 | 主な補償対象 | 原則として補償しないもの |
|---|---|---|---|
| 自賠責保険 | 法律上の義務 | 事故で死傷した他人の人身損害 | 対物、自分のけが、自分のバイク、盗難 |
| 任意保険 | 任意 | 対人(自賠責を超える賠償)、対物、自分・同乗者のけが、車両等 | 契約していない補償、免責・除外条件に該当する損害 |
| 盗難保険・盗難補償 | 任意 | バイク本体の盗難等 | 部品盗難、鍵紛失、置き忘れ等は契約により異なる |
任意保険・盗難保険の補償範囲は商品や特約で異なります。上表は制度を理解するための一般的な整理であり、実際の補償は契約概要・約款を確認してください。
自賠責保険|すべてのバイクに必要
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(第5条)により、原付を含むすべての自動車について契約が強制されています。
出典: e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」(確認日: 2026-08-31)
国土交通省も、原動機付自転車、電動キックボード、モペットを含むすべての自動車は、自賠責保険・共済に加入していなければ運転できないと案内しています。
出典: 国土交通省「自賠責保険・共済ってどんなもの?」(確認日: 2026-08-31)
自賠責が補償するのは「他人の人身損害」
自賠責の補償対象は、事故で死傷した他人の身体に関する損害です。1人当たりの支払限度額は次のとおりです。
- 傷害: 最高120万円
- 死亡: 最高3,000万円
- 後遺障害: 障害等級に応じ最高4,000万円
対物損害、自分自身のけが、自分のバイクの修理、盗難は自賠責の対象ではありません。
出典: 国土交通省「自賠責保険・共済ってどんなもの?」(確認日: 2026-08-31)
2026年8月時点の自賠責保険料
2024年4月以降に保険期間が始まる契約について、本土(沖縄県・離島以外の地域)の保険料は次のとおりです。
| 排気量区分 | 12か月 | 24か月 | 36か月 | 48か月 | 60か月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 125cc以下(原付) | 6,910円 | 8,560円 | 10,170円 | 11,760円 | 13,310円 |
| 125cc超250cc以下(軽二輪) | 7,100円 | 8,920円 | 10,710円 | 12,470円 | 14,200円 |
| 250cc超(小型二輪) | 7,010円 | 8,760円 | 10,490円 | ― | ― |
出典: 国土交通省「自賠責保険・共済への加入方法と保険料」(確認日: 2026-08-31)
保険料は改定される可能性があります(2026年11月1日始期以降の契約から基準料率の改定が予定されています)。契約前には、保険会社・代理店・損害保険料率算出機構の最新の案内を確認してください。250cc以下では、契約時に交付される保険標章(ステッカー)をナンバープレートへ貼付します。
任意保険|自賠責で足りない範囲を選んで補う
任意保険では、契約内容に応じて複数の補償を組み合わせます。
対人賠償
他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に、自賠責の支払限度額を超える部分を補償します。
対物賠償
他人の車、建物、ガードレール、店舗、積荷など、物に与えた損害を補償します。自賠責には対物補償がないため、対物損害へ備えるには任意保険が必要です。
人身傷害・搭乗者傷害等
運転者や同乗者のけが・死亡について、契約内容に応じて補償します。自損事故や相手が無保険の場合に関係する補償もあります。
車両補償
事故、火災、自然災害、盗難などによる自車の損害を補償する仕組みですが、補償対象は商品・プランによって異なります。
出典: 日本損害保険協会「自動車保険」(確認日: 2026-08-31)
任意保険料は、年齢、等級、車両、用途、補償額、免責額、運転者の範囲などで変わります。全国共通の「125ccなら年○円」「大型なら年○円」という公式料金表はありません。保険料の目安は、同じ補償条件でそろえた複数の見積もりで確認します(概算を見るだけでも条件をそろえないと比較になりません)。比較するときは、保険料だけでなく補償額・免責額・対象外条件も並べて確認します。
盗難保険|バイク本体の盗難へ備える
盗難補償には、主に次の形があります。
- バイク向け任意保険の車両補償・特約に盗難が含まれる
- 盗難専用保険を別に契約する
- 販売店・会員サービス等の盗難補償制度を利用する
一般の自動車保険では、車両保険の補償例に盗難が含まれる場合がありますが、補償内容は保険会社・商品ごとに異なります。バイク向け契約で盗難が自動的に付くとは限らないため、契約書で確認してください。
出典: 日本損害保険協会「自動車保険」(確認日: 2026-08-31)
盗難補償で確認したい項目
- バイク本体の盗難が対象か
- 部品・装備品だけの盗難も対象か
- 純正品以外のカスタム部品を含むか
- 保険金額は時価か、協定した金額か
- 免責金額があるか
- ハンドルロック、鍵、保管場所などの条件があるか
- 警察への届出期限
- 保険会社への連絡期限
- 発見された場合の扱い
- 全損認定までの待機期間
- 保険期間中の売却・車両変更時の扱い
バイク盗難の公的統計
警察庁は、オートバイ盗を犯罪オープンデータの対象となる窃盗手口の一つとして位置付け、都道府県警察が発生年月日・場所等のデータを公開しています。自宅周辺や利用地域の発生状況は、全国総数だけでなく都道府県警察のオープンデータでも確認できます。
出典: 警察庁「犯罪オープンデータ リンク集」(確認日: 2026-08-31)
警察庁の年次統計では、窃盗の手口別認知件数や、都道府県別のオートバイ盗の回復件数・回復率に関する統計表が公開されています。
出典: 警察庁「令和6年の犯罪」(確認日: 2026-08-31)
自賠責と任意保険は「重複」ではない
自賠責と任意保険の対人賠償は、同じ事故で二重に利益を得るためのものではありません。
- 自賠責: 被害者保護のための基本的な対人補償
- 任意保険の対人賠償: 自賠責の限度額を超える部分を補う
という関係です。
出典: 日本損害保険協会「自動車保険」(確認日: 2026-08-31)
一方、任意保険の車両補償と盗難専用保険は、盗難について補償範囲が重なる可能性があります。両方へ加入する場合は、同じ損害に対してどの契約がどう支払うのか、重複契約の扱いを保険会社へ確認してください。
また、自動車保険、傷害保険、共済、クレジットカード付帯補償等で、自分のけがに関する補償が重なる場合もあります。重複していても支払方法が定額型か実損型かで扱いが変わるため、保険名だけで判断せず契約内容を確認します。
「加入しない」という選択肢をどう考えるか
自賠責保険
加入しない選択肢はありません。公道を走るすべてのバイクに必要です。
任意保険
法律上の加入義務はありません。ただし、加入しない場合は、自賠責を超える対人賠償、対物賠償、自分・同乗者のけが、車両損害等を自己資金で負担する可能性があります。
加入しない判断をする前に、少なくとも次を確認します。
- 他人の車や建物を壊した場合に支払えるか
- 自分や同乗者の治療・休業へ備えられるか
- 家族や他人が運転することがあるか
- 通勤・通学で毎日利用するか
- 高速道路や長距離走行があるか
- 現在の貯蓄で想定外の損害を負担できるか
盗難保険
加入義務はありません。加入しない場合は、盗難時の車両損失を自分で負担します。次の条件を整理すると判断しやすくなります。
- 車両の現在価値
- 再購入が必要か
- 屋内・施錠設備のある場所で保管できるか
- 盗難防止装置を複数使用しているか
- 地域の盗難発生状況
- カスタム部品を含む価値
- 盗難時に生活・通勤へ与える影響
契約前のチェックリスト
確認リスト
- 自賠責の満了日と保険標章を確認した
- 対人賠償の補償額を確認した
- 対物賠償の補償額を確認した
- 自分・同乗者のけがの補償を確認した
- 車両・盗難補償の有無を確認した
- 免責金額を確認した
- 運転者の年齢・範囲を確認した
- 通勤・業務使用の申告を確認した
- カスタム部品が補償対象か確認した
- ロードサービスの条件を確認した
- 既存の保険・共済との重複を確認した
- 「加入しない補償」を自分で負担できるか確認した
保険は、すべて付けるか、すべて外すかの二択ではありません。自賠責で補償される範囲、自分で負担できる範囲、任意保険や盗難保険で移したいリスクを分けて考えることが重要です。
バイク本体の盗難損失を自己資金だけで負担することが難しく、盗難補償を検討する場合は、補償対象・免責・保管条件を公式情報で確認できます。
盗難補償を使わない備え方もあります。複数の盗難防止装置・屋内や施錠設備のある保管場所・地域の発生状況の確認(上記の公的統計)を組み合わせ、損失は自己負担と割り切る選択肢です。