失業保険(基本手当)を受け取るための条件
失業保険と呼ばれる「雇用保険の基本手当」は、退職すれば誰でも自動的にもらえるわけではありません。受給には次の2つの条件を満たす必要があります。
1つ目は被保険者期間です。自己都合退職などの一般の離職者は、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)の場合は、離職日以前1年間に通算6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。
2つ目は「失業の状態」にあることです。就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があり、求職活動を行っているにもかかわらず職業に就けない状態を指します。そのため、退職後すぐに働く予定のない方(しばらく休養する、家事に専念する等)や、病気・けがですぐに働けない方は原則として対象外です。
自己都合と会社都合でどう変わる?(給付制限・給付日数)
同じ賃金・同じ勤続年数でも、退職理由によって「いつからもらえるか」と「何日分もらえるか」が大きく変わります。
給付制限について、会社都合(特定受給資格者)は7日間の待期期間が終わればすぐに支給対象となります。一方、自己都合退職は待期期間に加えて給付制限があります。従来は原則2ヶ月でしたが、2025年4月1日の法改正により原則1ヶ月に短縮されました。ただし直近5年以内に自己都合退職を繰り返している場合(3回目以降)は3ヶ月となります。また、離職期間中などに教育訓練を受講すると給付制限が解除される特例も新設されています。
所定給付日数は次の表のとおりです(2025年8月1日時点)。
自己都合・定年退職など(一般の離職者)
| 被保険者期間 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合(特定受給資格者・倒産解雇等)
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
障害者等の就職困難者
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
基本手当日額の上限・下限(2025年8月1日改定)
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,510円 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 16,110円 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 17,740円 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 16,940円 | 7,623円 |
| 下限(全年齢) | 3,014円 | 2,411円 |
基本手当日額は賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180)に50〜80%(60〜64歳は45〜80%)の給付率を掛けて算出され、賃金が低い人ほど高い給付率が適用されます。上記の額は毎年8月1日に改定されます。
受給までの流れ(離職票→ハローワーク)
実際に振り込まれるまでの一般的な流れは次のとおりです。
① 退職後、会社から離職票(雇用保険被保険者離職票-1・-2)が届きます(通常、退職から2週間前後)。届かない場合は会社かハローワークに問い合わせましょう。
② 住所地を管轄するハローワークで求職の申込みを行い、離職票を提出します。この日が受給資格決定日となります。マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)、写真、本人名義の預金通帳等を持参します。
③ 受給資格決定日から通算7日間の待期期間を経て、雇用保険説明会に参加します。自己都合退職の場合はさらに給付制限期間(原則1ヶ月)が付きます。
④ 原則4週間に1度の失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績(原則2回以上、初回は1回以上)を申告します。認定されると約1週間で28日分の基本手当が振り込まれます。以降、所定給付日数を消化するか再就職するまで繰り返します。
受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。申請が遅れるとその分もらい損ねる可能性があるため、離職票が届いたら早めに手続きしてください。
よくある質問
受給中にアルバイトをしたらどうなる?
待期期間(7日間)中に働くと待期が完成せず、支給開始が遅れます。受給中は週20時間未満のアルバイトなら可能ですが、失業認定申告書への申告が必須です。1日4時間以上働いた日はその日の基本手当が支給されず後ろに繰り越され、4時間未満の日は収入額によって減額されることがあります。申告せずに働くと不正受給となり、受給額の返還に加えて最大2倍の納付(いわゆる3倍返し)を命じられるおそれがあります。
失業保険をもらいながら家族の扶養に入れる?
基本手当日額が3,612円以上(130万円÷360日)の場合、受給している間は健康保険の被扶養者になれないのが一般的です。日額3,611円以下であれば扶養に入れる場合があります。給付制限期間中は扶養に入れる健康保険組合が多いものの、基準は組合ごとに異なるため必ず加入先に確認してください。なお、失業保険は非課税のため、税法上の扶養(配偶者控除等)の判定では収入に含めません。
自己都合退職でも給付制限なしで早くもらう方法はある?
2025年4月の法改正により、離職期間中または離職日前1年以内に教育訓練給付の対象となる教育訓練を受けた場合、自己都合退職でも給付制限が解除されるようになりました。また、病気・介護・配偶者の転勤に伴う転居など「正当な理由のある自己都合退職」(特定理由離職者)と認められた場合も給付制限はありません。該当しそうな事情がある方は、証明書類を持ってハローワークで相談してみてください。
申請しないまま時間が経ったらどうなる?
受給期間は原則として離職日の翌日から1年間で、これを過ぎると所定給付日数が残っていても支給は打ち切られます。特に給付日数が多い方(330日・360日)は、申請が遅れると満額受け取れなくなるため注意が必要です。病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けない場合は、申請により受給期間を最長4年まで延長できます。
早く再就職が決まったら損になる?
損にはなりません。所定給付日数を3分の1以上残して安定した職業に就いた場合、再就職手当が一時金として受け取れます。支給残日数が3分の2以上なら「残日数×基本手当日額×70%」、3分の1以上なら「×60%」です。早く決まるほど手当率が高くなる設計なので、受給日数を使い切ることにこだわらず、良い求人があれば積極的に応募するのがおすすめです。
データの根拠・免責事項
本ページの計算は、厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和7年8月1日適用の賃金日額・基本手当日額の上限額/下限額および給付率)、雇用保険法に基づく所定給付日数、ならびに2025年4月1日施行の改正雇用保険法(自己都合離職者の給付制限期間の原則1ヶ月への短縮)に基づく、2025年8月1日時点の基準による目安です。実際の受給資格・支給額・給付日数は離職票の記載や個別の事情によって異なります。正確な金額・手続きは必ず住所地を管轄するハローワークでご確認ください。